私の研究

 現在、私は博士後期課程3年で、牛を対象に近赤外光、深層学習、音声、画像処理、飼料栄養、統計といった広い分野で研究を行っています。このWebサイトでは、自分の研究や学会の様子、プログラミングのコード提供をしていこうと思います。以下が私の研究です。

家畜生産と取り組むべき課題

 家畜は人々に貴重な栄養を与えるだけでなく、水田での動力源としての活用や堆肥としての糞尿利用で作物生産を向上させてきた。さらに世界人口の増加に伴い、家畜からの畜産物の需要が拡大することが予想されている。その需要は 2030 年までに 2012 年のレベルから 35%増加し、2050 年までに 50%増加すると予測されている(FAO, 2018)。持続的な畜産農産物システムでの実践を通じて気候変動対策を行っていくことは重要ではあるが、持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)にあるように貧困の撲滅と2030年までに飢餓ゼロを達成することに関する目標も重要な課題である。したがって、肉、牛乳、卵、チーズ、ヨーグルトといった必須栄養素を含む動物由来食品が飢餓や栄養失調の人々を養い、かつ大気中への温室効果ガスの排出を最小限に抑える方法で生産されるというバランスを取る必要がある。畜産システムから排出される主な温室効果ガスは、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、二酸化炭素(CO2)の3つであり、この3つのガスの排出は優先的に削減すべき対象である。CH4はCO2と比べて温室効果が高く、地球温暖化防止のためにはCH4排出量の削減が早急に必要である。国際連合食糧農業機関(FAO: Food and Agriculture Organization of the United Nations)は、家畜の管理方法の改善だけで、畜産システムからの純排出量(特にCH4)を約30%削減できると推定している(FAO, 2013)。持続可能な畜産を形作るには、家畜生産を様々な観点から理解することが重要である。


肉用牛の生産体系

 日本において、肉用牛の品種として主に4品種が存在する。その中で日本の肉用牛の95%以上を占めているのが黒毛和種であり、脂肪交雑の面で優れているのが特徴である(農林水産省, 2021)。一般的に肉用種の子牛では、遅くとも生後5カ月齢(あるいは体重150kg)までに離乳され、育成、肥育に移っていく。日本の黒毛和種去勢牛の肥育開始月齢、開始体重、仕上げ月齢および仕上げ体重をみると、生後9.1か月、体重285kgで肥育開始し、生後28.7カ月、体重714kg程度で出荷するのが平均的である。通常、この肥育開始から出荷までの肥育期間は、前・後期または前、中・後期と、2から3段階にステージが分けられる。

デンプン質飼料の現状

 デンプンは、食料や飼料、エネルギーとしても利用できる有用な資源である。穀物のデンプン含量は品種、栽培条件によって変化するが、デンプン含量が高いものから小麦(77%)、トウモロコシ(72%)、大麦(58%)となる(Huntington, 1997)。その中でもトウモロコシは日本の家畜にとって主要なエネルギー供給源であり、家畜に与える配合飼料に占めるトウモロコシの割合は4-5割を占めている(国土交通省, 2014)。しかし、トウモロコシも国内での生産はなく(青刈りトウモロコシを除く)、ほとんど輸入に依存している(総務省統計局, 2020)。このようにトウモロコシは飼料として家畜生産を支える一方で、人の食料と競合する穀物であるため、飼料として利用する際には効率的な利用が望まれる。

コンピュータビジョンシステムの活用

 畜産業において、デジタル技術として、ウェアラブルセンサー(Neethirajan, 2017; Rutten et al., 2013)、ロボット搾乳システム(Rodenburg, 2017)、赤外線分光分析(Bresolin & Dórea, 2020)などが開発され、生産現場に活用されている。これらのデジタル技術を活用することで、労力やコスト、動物のストレスの問題で測定が困難な家畜の生体情報を得ることができる。家畜のデジタル技術の中でも、深層学習を用いたコンピュータビジョンシステムは最適な農場経営の意思決定をするために欠かせない技術として注目され始めている。

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